カレンダー側をやったら一息ついて心を落ち着かせたら表側へまいりましょう。
ローターを外したところはもう見慣れたものですね。
2824と2784では若干厚みが違い、香箱の高さが2824のほうが小さくなっている。
本題からは外れますが、この時計のゼンマイには2824用のものが入っています。27系のものが比較的高価であることと、手元に2824用があったからです。
もともとゼンマイ切れで使えなくなっていたものに対して、無理やり別の主ゼンマイを入れても使えるのかというので試しました。
高さが小さいゼンマイを採用しているのでトルクが本家よりも弱くなって振り角が下がりますが、今のところ動作がおかしくなることはありません。
みだりに自動巻きの香箱を開くのは良くないと教わっているので貴重な体験でした。
閑話休題、分解に手をうつしましょう。
自動巻きユニットはカポっと外れます。裏側からも固定されており分解が必要。
右側2つのクラッチ車はちょっと油が滲んでいますが、洗わずに使います。28系のマニュアルだとこれらは洗浄せず、汚れ・錆びが目立つなら交換を推奨とあります。
触っても動きがしぶそうな雰囲気はありません。続投。これは27系?同じでしょう。しらんけど。
キフショックを外すのももちろん初めて。結構細くしたドライバーもしくはピンセットが必要でした。
折ると代わりがありませんからね。細心の注意をはらいながら力は最小限でじわりじわりと動かす。耐震の組付けとか苦手だから傷つけちゃうのは練習したほうがいいな。
今回も今回とてヒゲゼンマイが偏っていますね...。右側へ広がっています。
あまりやりたくありませんが、ここまでずれていると振り角が心配です。
ハイビートの機械はヒゲゼンマイが強力ですからグネグネに曲げまくってしまう事態は防げます。技量があれば。
どうでしょうか。
右側、ヒゲ持ちあたりの間隔が狭まっていませんか?外端に触れてしまいそうだったのも改善しました。
本当はもう少し詰めるのが良いのですが、人様の時計で挑戦するには気が引けます。攻めずにまずは様子見です。
丸穴車の下にはコハゼが隠れていました。角穴のイメージがあったけどなあ。
ここは超音波洗浄にかけると躍り出てきそうですから前もって外しておきましょう。このバネが小さく薄いので紛失・破損に注意。
輪列は何も考えなくても大丈夫。
ETAの機械は4番車が中心にあります。2番車が中心だった伝統的な配置とは違うってだけですけどね。
初めて目にしました。こんな巻芯が存在するんですね。
こんなおしゃれにねじった部品、作れと言われても作れません。cal.2784の巻き芯はまだ手に入りますかね?
2824−2は真っ直ぐなのに、この機械はひねられている...。部品代をせしめようとするRLXの差し金か??
切り替え部分は簡素でいいですね。好きです。
バネも1枚だけで噛合部分にも油がさしやすい。素直に持ち上げれば分解できるし、逆も然り。組付けもとても簡単。
お疲れ様でした。洗浄機でゆっくりしてきてください。
ゼンマイ切れ以外の不調があったとは知りませんでした。ヒゲゼンマイの修正はもっともっと練習しないといけませんね。
組立は集中していたので記録なしです。
預かったときには180°だった振り角が分解洗浄注油とヒゲ調整を経て平置き240°程度まで回復しました。280°くらいが理想ではあるものの、主ゼンマイのトルクが小さくなっているのでそもそもの限界値が低い。
もうすこし中心をとれば260°くらいなら目指せるかな...。怖くてできないな。
あとは1週間動かして様子を伺いましょう。姿勢差も小さくて大したもんです。
では、またお会いしましょう。