洗浄が終わって綺麗になったら苦手とわかっている注油を行いましょう。
ゼンマイが青い。
古いものだとこうしてSUP材のような板バネが使われます。色は好きですがやはり性能では新しいものに劣ります。
現在主流は白色合金のゼンマイといって、やれにくく千切れづらいものに置き換わっているようです。
耐震なしテンプは上から石を外して注油できないので外さねばなりません。
極細のドライバーでヒゲ持ちのネジを緩める工程で、一度すべらせてひげを曲げた経験があります。脳裏に焼き付いてしまって今でも緊張します。
外したら油だまりのような所にオイルを乗せて吸い込ませましょう。ネジを回して分解しきっても良いのでしょうね。
テンプ以外は心配ありません。特別変な形のところもなく慣れたものです。
ザラ回しもシュゥといい音です。鳴らしすぎもよくありませんけども。
テンプ下の石もねじ止めタイプ。
安直に外して石に適度に油を乗せて戻してやるだけです。私は地板側ではなく着脱側に乗せます。
量に関してはなんとも...。べっとりでもいいんじゃないかな。個人の感想だけど。
さあこれでテンプを乗せれば余裕で動き出します。知ってた。
調整中の画面。
古いこともあって最初は+160とかでてましたがここまで美しい線が出せるまでには場頑張りました。
てなわけで何度もテンプを触ってボロボロにしてしまいました。
ピンセット磨きなおさないとな。ごめんなさい。
ヒゲのタイコを持つところが移動できない、アンティークの代物はテンプを外して(もしくは吊り台にさげて)ヒゲ玉というのを動かしながら片振りを直します。意外と難しくて、リスクもあります。
手っ取り早く終わらせるためにやったほうがいいのが、アンクルを外して振り石の位置を目で確認する。これです。アンクルがなければ負荷のかかっていない状態でどこに振り石が止まるかが見やすくなります。
テンプ・アンクル・ガンギ車の中心上に振り石が来るまで調整を繰り返します。
可動ヒゲ持ちじゃないと細かく調整するのは難しく、1.0ms以下ならもういいんじゃないかと考えてます。あんまり危険なことはしたくない。
しかし精度もそこそこで30時間以上動くことがわかりました。じゅうぶんでしょう。
宇和島から受け継いだ時計は生きています。動いています。
70年の時を超えて現代をまた一緒に過ごしてくれるでしょう。
革ひもってどこで買えばいいんだろう。作るのかな。
では、またお会いしましょう。