損するあほう

時計とかタバコとかPCとか、残しておく。※個人の感想です

掛け懐中時計 前編

祖父の持っていたオメガの懐中時計を持っていたのを思い出して引っ張り出してきました。

 

もう何十年置かれていたのか不明ですからちゃんとした動作は期待できませんが、それでもやはり腐っていくのは無視できません。

 

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どれくらいのお値段がしたか想像の域を出ませんが、超絶ハイエンドの懐中時計でもなさそうですね。
ケースは銀や金でもなくニッケル。文字盤もプリントしたもの。青焼きの針は時代を感じますね。

 

銀色で統一された無駄のないムーブメントが裏蓋から見られます。

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少々汚れがにじむ部分もありますね。15石というのはケチった印象がありますね。受けや地板も彫りが無い。
落胆するだけではありませんよ。そもそもオメガの懐中時計が手元にあるだけでなにとなく嬉しいものです。

 

さあ分解を進めます。

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なぜこのまま分解を進めているのかって?

教えてあげよう。

 

巻芯が抜けません!!

 

オシドリをゆるめても抜けないので文字盤側もさわれません。とりあえず取れるところに手を付けるしかありません。

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おかげでアガキの確認も停止量もちゃんと見られません。こまったもんです。

結局無理やり傾けて干支止めを回す羽目に。

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とってもシンプルでいいですね。バネも肉厚で安心できます。
ここへきてやっとこさ巻芯を引き抜けました。

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切り替えまわりはサビていないものの、日ノ裏車や子鉄車の地板が黒ずんでいます。機能的な影響は小さくて済む。

 

ツツカナもまたかたい。

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いつも使っているものでは敵わないもんですから、てこの原理で少しずつ持ち上げました。折らないか気が気ではありません。

 

ヒゲゼンマイは大丈夫です。

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昔らしくバイメタルの切テンプですね。ブレゲヒゲも綺麗に伸縮してくれます。

温度による膨張を最小限に抑えるために2種類の金属で補正しあう。よく考えたものです。どうやって製造していたんでしょうか。オーパーツ的なものだったりして?

 

久しぶりに懐中時計を分解しました。部品が大きくて重たい。

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ピンセットで受けを持ち上げるのも一苦労。
部品がでかいと洗浄かごに入れるのも大変。別個で洗わないと小さな部品が潰れかねません。地板も同様で、もうひとつ洗浄瓶を用意します。

 

ベンジンから水揚げしたら組立へ。

 

では、またお会いしましょう。