某サイトでコルムの腕時計を手に入れました。もとが高いだけあって使い古しでもかなりのお値段。財布が泣いています。
しっかり動くようにしてお小遣いの素に変身させたいものです。
外観は悪くないように思えます。パッと見はこのままでも使っている人はいるくらい。
中三針でバーインデックス、Incablocなどの文字もなし、ええ具合のシンプルさ。何回でも言うけど、やっぱ時計はこうでないと。クロノグラフなんて使わないし故障の原因でしか無い。値段も上がるし。
よく見るとその限りでもなく、やはり他よりも安い理由があります。
文字盤が沸騰しています。あと風防のひっかき傷も目立ちますね。今回の残念ポイントはこの吹き出物でしょうか。
ベゼルも小キズや汚れが見て取れます。目に付きやすいところですからどうにかしたい。
風防と一体のベゼルでかつ幅もほとんど無いせいでハンドルーターは怖くて使えません。軽くコンパウンドで拭うくらいでないとプラ風防溶かしそう。
作業を開始しようと裏蓋を外してこれは大変。緑青やらサビやらで動きが渋くなっています。
機械の方にサビが回っていると途端にNGを突きつけられるので心配な展開です。天に祈りを捧げておきましょう。エイメン。
本体だけでなくケースのあっちこっちにサビが出てきています。
ケミカルも使うし軽度のサビなら真鍮の棒やブラシでガシガシこすってやるとサビってのは簡単に落ちます。これくらいならの話ですけどね。錆取り剤に真っ赤になったものを入れると本体ごと溶けてしまいそう。
無事機械を取り出せたわけですが、杞憂だったようです。全体に見られる白い汚れの原因が何かはわかりませんが刷毛やロディコで少しずつ落とせます。
伝統的な裏輪列のお顔をしています。一方で耐震装置がねじ止めされていたりガンギ車用に保油用の石が追加されていたりしますね。
バネの使われていない石を二重にしただけの保油機構はネジ止めが甘いと板や石が浮いてしまい、歯車が適切な位置を保てなくなり噛み合わなくなります。確かに汚れが入りにくい・油の漏れが少ないとメリットもありますけども、現代は質の高い潤滑油がありますから改てこうした保油装置はなくてもいいんじゃないかなと思ってしまいます。
裏おさえが裏輪列おさえと別なのはやっぱり嬉しい。
さて表にうつりましてテンプを取っ払おうとしたら見たこともない緩急調整が。
コラムホイールの逆を彫ったみたいな歯車がついている!
これを回すと緩急針が少しずつ動くようです。裏側に小さな櫛歯のようなものがついており、逆コラムホイールについた歯と噛み合い緩急針の位置が決められるのです。
ヒゲゼンマイを確認するのに撮った写真に櫛歯もちゃんと入っていました。
右すこし上あたりにあるギザギザの金色。あれと連動しているみたい。回すの難しいからあんまり触ってると滑って傷つけそう。
ヒゲゼンマイはきれいな状態ですね。美しい青焼きも見られて目の保養です。
とりあえずテンプを安全なところへ移動させて休憩へ入りましょう。
後編は刷毛で掃除しながらの分解観察ですから体力が必要です。
では、またお会いしましょう。