そろそろ機械の方へまいりましょう。
キャリバーが不明で、検索すると「J13032」としかヒットしません。裏蓋にもこの番号しかありません。
しかもこの裏蓋の消えかかり具合。長いこと使っていますねぇ。
汗のたまる部分に錆が発生しているものの内部は綺麗なまま保たれています。
とんとん叩いてケースから取り出し。
ふむふむ。シンプルな手巻きらしい素直な形ですね。
かなり多く使用されるネジ、これはこれでよいのです。
真ん中のほうに見える8の字部品は潤滑油の揮発対策の一環。
単に押さえて油が空気に触れる面積を減らしているんですね、きっと。
これがなければ歯車がガタつきますから意外と重要です。ネジ潰れ注意。
ひっくり返して表側へ。
伝統的な中三針の配置にこちらも耐震・補油装置、曲線たっぷり両手持ちのテンプ受が特徴的な機械です。J13032でしたっけ。
18000振動のゆったりとしたチクタク音が素晴らしい。
ヒゲゼンマイは全然ヘタってない。10年くらい使いっぱなしなんじゃなかったっけ?
振動数が低いとその分ヒゲゼンマイも柔らかくなるため、中心が寄っていると踏んでひっくり返しましたが大丈夫でした。
受けの一部にヒゲ持ちがある。
10年間ほぼ毎日ゼンマイを巻かれたため、削れている部分が少し。
下のほう、金色に光る箇所。そしてその中心には黒くにじんだ部分が見えますね。
ここもひっくり返すと同じく黒いにじみ。
ゼンマイにつけられていた油が乾いてカスになってのが出てきたのでしょうか。ハケで取り除いてあげましょう。
香箱にももちろん黒ずみ。こいつは大問題児ですから後回し。
受け石内部も汚れが無くとってもキレイ。
長いこと使っているとここに歯車か何かから出た汚れがたまっていき、カビが生えたようにプツプツと見えます。今回はとってもとっても美しいので嬉しいですね。
ココだけ見ればセイコーファイブみたいな形。
でもここにも長年の疲れが見えます。
テンプ受石は油切れで動かしていると穿たれている可能性があって怖いんですよ。替えの石持ってませんし。
おそるおそる油あとをぬぐいましょう...。南無三...。
よっしゃあ!!! へこんでない!!
この原因は大問題児、香箱にあるはずです。
少し不安な箇所も残しつつ、8割オッケーってところでしょうか。
各歯車のアガキも余裕があり摩耗も少ないようです。
一方で稼働させるたびに力がかかる箇所、丸穴角穴あたりはいたんでいます。
さて洗浄して乾かす間に、この時計の一番の問題である香箱をどうにかしましょう。
では、またお会いしましょう。