結局精度がガタガタのまま腕に巻かれているオールドオメガ。
分解時に「おお!」と思った箇所があります。
分解にやさしい構造のテンプ受けです。
これは分解し終わったテンプ受けですけれど、見てお分かりの通り、よくある潰れやすいネジがありません。
画面上に見える手裏剣状の部品がネジの仲間です。
緩急針の突起3つに手裏剣のくぼみが入って止まる。なんておしゃれで便利な構造なのだ。好き。
以下はよく見るつぶれやすい方。
あまり外さないのが得策ですね。
cal.370のテンプ受けはここだけではなくヒゲ持ちも簡単に外せてありがたかった記憶です。
緩急針の一部です。ひげピンとこの可動部でヒゲゼンマイを挟んで調整を可能にする大事な箇所。
動かすために開けられた穴を通じてヒゲゼンマイを自由にする必要があります。
となるとピンを作ればいいだけですね。棒状に削るだけ。
正しく計測していませんが、0.3mmくらいの細さにすれば回せました。
ピンセットでも回せたでしょうが、ピタリとハマらず形が崩れてしまったりピンセットのほうが傷んでしまったりと、良い結末が想定できませんでした。
落ち着いて回しましょう。
はい、できました。あとは最初に戻って手裏剣を回すだけ。
本当はチラネジを使った姿勢差調整もしたいところですが、静的姿勢差を見る工具がありませんからパス。
アンティークながら今でも「素晴らしい」と感じた構造でした。
では、またお会いしましょう。