個人で時計を所有するとなるとせいぜい10本くらいが限界でしょう。
一方、仕事や趣味の修理などでひとさまの物を触っていると様々な機械に出会えて楽しいものです。
今回は個人的上半期に遭遇した、ハジメマシテなクオーツの機械たちを紹介します。
TISSOT SEASTAR 2030
ただの古いクオーツのように思われるでしょう。しかし、なかなか面白い子です。
こちらのページを参照しつつ説明します。
TISSOTが初めて自社開発したと思われるこの機械が世に出たのは1977年。設計も古く、直後に改良版の2031が導入され、市場から追い出されてしまう運命にありました。そもそも弾数が少ないみたい。
時刻合わせが難解です。私も方法を知らなかったため苦労しました。
上記手順でなくとも、押し込んで回す押し込んで回すを繰り返しても針は回せます。
「なんだ、簡単じゃないか」と思ったあなたはわかっていない。
尋常でない力を要求され、時刻合わせを終える頃には指がじんじんと痛むほど。
ちなみにお客さんは歯でリュウズを引っ張っていたそうです。さすがにオーバーホール出したほうが...。
従来のように引っ張って回す方法以外での時刻合わせを目指した挑戦的なクオーツだと私も思います。
が、ボタン押込みはオメガにお株を奪われてしまった感が否めません。
SEIKO 2E20B
違和感しか無い。私は違和感で満たされている。なんならちょっと気持ち悪い。
その正体はネジ!
時計の機械は主にマイナスネジを使用します。近年の腕時計は回転錘のそれを除けばほとんどがマイナスです。
そこでもう一度このムーブメントに目をやると、写る全てのネジがプラスネジではありませんか!
セイコーは7S26Aの頃も極小のプラスネジを使いたがりました。カレンダーおさえネジの一つだけが違いましたね。
それと同じ何かをこの2E20が引き継いでいる気がします。
はたまた私の見た個体だけがプラスに交換されたものだったのでしょうか...?そんなことする変態がいるのか...?
中華クオーツ LD57
分解不可能、使い捨てクロノムーブです。 LANGEXIN がメーカー名っぽいですね。
これの中三針、普通の機械は幾度となく見ましたが、クロノは今回が初めてです。
雑貨屋やアクセサリーショップで名もなきブランド(とかいうと失礼かもしれませんけども)の時計が並んでいるでしょう。ぱっと見は小綺麗に作られているあの子達の中身はこれです。
MIYOTAのJS15みたいな立派な機械が入っているとでも?
AliexpressやAmazonで見かける激安ファッションウォッチはこれが入っているんでしょうねえ。買ったことがないので知りかねますが。
さいごに
古いものとの”新しい出会い”って楽しいですね。
見たことのない機械はまだまだたくさんあるでしょうし、数年もすればまた新しい機械が開発されるのは言うまでもありません。
「おっ」と思った機械はなるべく写真に残すなり調べて記憶に刻むなりしてもっと勉強を重ねたい次第です。
では、またお会いしましょう。