某フリマで安く手に入ったので見てみましょう。
3万円ですってよ。見た目は何も問題ありません。ただ、手にとってみるとチチッチチッと、えらく振り方がおかしい。
動いてるならミスらない限りはまた動くし、どんと構えて臨みます。
今回は写真がちょっと多めなので前後編に分けます。そのほうが皆さんも飽きなくて済むでしょう。
ケースから機械を取り出す
外す前にざっくり見ていきます。
ベゼルが細かく彫られていてキラキラ。フルーテッドよりも上品な感じがして好き。


文字盤はフチがすこしだけ傷んでいるだけでその他はどこも悪くありませんね。
後で少し見る針が汚いかな?
この CORUM は風防側から機械を取り出すタイプ。ですからまず裏蓋を外して機止めネジを外します。
裏蓋側からどうあがいても取り出せなさそうなのですぐに気づけますよ。あとは裏蓋が文字盤より小さいとほぼ確実にこれ。
裏蓋はスナップ。開けたら機械を観察します。ここの診断で結構わかるものがあるはず。

まずは汚いよね。ベタベタ触ってんじゃねえよと。これだけでかなり不安になるね。
指サックもせずに触る人間が開けたってことは絶対にどこかが「消耗ではない」不具合を抱えています。絶対は言い過ぎたかな?
機止めネジは四角で囲んだやつ。逆側にもあるから外します。

矢印のところに注目してください。そちこちにホコリが...。コハゼの下に入っていたり、保油装置の間に挟まってしまい引っ張っても取れなかったり。誰が何をやったのか、こんなに汚れてしまってかわいそうに。
しかし運が良かった。細切れになって絡まっているなんてこともなく、すぐにサヨナラできました。
巻芯はネジで固定。90度ずつ緩めながら巻芯を引き抜いていきます。ネジを緩めすぎるとオシドリが外れて面倒なので注意。

ムーブメントが自由になったら風防を外してそちらへ押し出します。


やっと機械を取り出せました。比較的古い機種に多いかなと思います。
文字盤を下にしてクッションに出すわけですが、その際に文字盤や針を傷つけたりしないかと不安になります。あまり好きではない固定方法です。
文字盤と針を確認
ケースも含めてかなり薄いため、針のクリアランスは重要。何度かミスった経験あり。

よく見なくても針が汚いなあ。これはさすがにお掃除しておかないと。

ロディコでざっと拭ってからエタノールとワイプで落とすのが私のやり方です。これで合ってるんでしょうか。
文字盤はとってもいい状態。湿気のプツプツも無いし、傷もほとんど無い。ベリグー。

干止めネジは機械側面についてるやつです。ドライバーどれだっけなーと毎度なる小ささ。
不具合の特定
この時計はジャンクとして出品されており、「動いていない」「すぐ止まる」「いっぱいに巻上げても動かない」なんてことになっていました。
チチッチチッと聞こえるならとりあえずテンプを見てみましょう。


ひどく曲がっています。一体誰がこんなことを...。まあ、ホコリだらけでほったらかしにできる人間ならやりかねない所業って感じ。

おおよそ前の所有者が自分で調整しようとして盛大に曲げてしまったのでしょう。
よくもまあ安くもない時計を自分でやろうと思ったもんです。古い hmt でも何でも、いろいろと練習できただろうに。
文句を言っても仕方ありません。駆け出し技術者としてこれは直しましょう。テンプ一式だけにして修正します。2,3箇所曲がってるかなって印象。

そろそろ何か治具がほしいな。不安定で怖い。
集中しすぎて写真が残っていません。とりあえずここまで持ってきました。水平方向にもう少し調整が要るけども、動くから様子見。

不具合とは直接関係ない点でひとつ気になったところが。
テン受けの裏側にあった U 字の金具はなんだろう。外せば耐震装置とかがポロッと外れるのかな?

そんなこんなでかわいそうなテンプが少し元気になり、チチッチチッは解消しました。
続く
テンプまで力が来ているのなら洗浄でパフォーマンスが改善するはず。
ザラ回しもぎこちない。振りが悪いのは古い油が邪魔してるのかな。切替の感覚とかは悪くないし、機械も年代の割にキレイ。
ヒゲゼンマイの修正にかなりの時間を費やして疲れてしまいました。コーヒーを飲んで気を落ち着かせたら普通の分解もしましょう。
では、またお会いしましょう。