損するあほう

野良の時計修理技能士がいろんな時計を開いていくブログ。

CORUM AV.423 は石がいっぱい 後編

まわり始めた My Revolution 、じゃなくてテンプを確認したところで後半に入ります。

ここから先はただの手巻きのムーブメントを分解していくだけで、面白みはありません。ちょっと古くてちょっと石が多いだけです。

 

 

ムーブメントの基本情報

タイトルにも入っているように、ムーブメントは AV.423 です。秒針もなし、カレンダーもなしの超シンプルな構成。好感度大です。

Aurore-Villeret 423 が正式名称っぽい。下の情報は ranfft から拝借。

発売: 1955年
直径: 23.7mm
パワーリザーブ: 42時間
振動数: 18000振動/毎時

普通の手巻きなら17石あれば十分なところ、今回の機械は21石搭載しています。
見ての通り表輪列に保油装置としてキャップジュエルが、ガンギ車に関しては裏側にも一つ追加されています。かなり豪勢。もりもりです。

 

部品の調達もしやすい部類っぽい。
ebay で検索 するとムーブメント全部(部品抜けあり)でも€20から売られてたりします。安く修理できそう。

 

表側分解

テンプ一式と受けは前半で外しました。ゼンマイを解放してアンクルを取ります。

丸いようなシャープなような、面白い形のアンクル受け。薄くて持ちづらいなあ。

 

左側に423の刻印が見えますね。 ET と小さく刻印があるのも見つけました。
輪列はオーソドックスな感じ。

3番車、4番車は長さが違う点で見分けられます。必ずではないものの、3番車のほうがたいてい短くなります。観察しながら分解しましょうね。

 

次に丸穴と角穴。ここにカサカサのグリスがあるのを見ると、前回の注油はかなり前っぽい。ベンジンに浸して硬めのブラシでゴシゴシして落とそう。

 

案の定、香箱は一受けにくっついています。グリス漏れてるもんね。仕方ないね。

今回は大丈夫なものの、もし強固にくっついているのならこの状態でベンジンにどっぷり浸けておくしかないかもしれません。

 

表側の最後は保油装置。輪列受けに載っているのを忘れてませんか。

緑色の方向にある小さな突起を使いバネを回し、赤色の切り欠きの位置に持ってきて外します。セイコーファイブのダイヤショックと同じです。そう考えたら急に気が楽になります。

取れたら油のつく面をゴシゴシ掃除してもとに戻しましょう。

 

油が長持ちするのも良いのですが、私としてはお掃除の手間が増えるのが面倒です。受石がなくなると歯車も回ってくれなくなっちゃうし。

 

裏輪列を分解

分解と言っても部品数が少なく、説明することはほとんどありません。

日の裏おさえをはずしたら古典的な切替機構が見えます。ネジ式のオシドリは最後でいいかな。

 

小鉄車には裏表があるので注意。さすがに知ってるか。

たいていはつるつるで表面積が小さいのが地板側で、大きいのが文字盤側。機械式はだいたいこれでいい。

クオーツは裏表が設定されていないものもあるみたいだから、分解の時によく観察して覚えておきましょう。

 

保油装置と耐震装置の別パーツになっているやつらを外します。ガンギ車のやつのネジがとっても小さいので注意。

わりと普通に取れると思っていたらインカブロックのほうは頑固。超音波洗浄中に外れてくれたので許しましょう。これも古い汚れのせいかな。

 

組立時にはこの保油装置を先に戻しておかないとガンギ車が正しく回りません。ザラ回しの時に焦った。

 

おしまい

ありがとうございました。無事修理成功です。洗浄後に注油組み立てして、平置き240度、縦置き210度くらいまで復活しました。ギリギリ使える。

 

ケースが完全非防水なのを無視すれば、使いたくなる時計ですね。
小ぶりなケースとシンプルな文字盤、カレンダー無し、二針、手巻き。私の好みがぎっしり詰まっている。

 

でもやっぱり水が気になっちゃうなー。売っちゃおうかなー。

 

では、またお会いしましょう。

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