先日動作を確保したCYMAの機械は超安価ムーブメントとのスワップに挑戦します。
といっても作業に必死だったから写真はありません...。
さて本題。
今回は「直って戻ってきてくれたらいい」と率直な依頼をいただいております。
確かに、ほったらかしにしていた時計が動いて戻ってきたら感動もんです。
受け取り中身を見て愕然。
激安ムーブじゃねーか!
石はわずか2つで耐震装置もなし。そのせいでテン心が折れて動作が停止。
ebayで探すも送料込みで4,000円強。待ち時間と組み直しても中身は同じままと考えた場合、他の方法を考えたほうが良さそう。
てなわけで適合しそうなのがCYMA 459ってわけです。
基本情報を比べますと、
10.5''', Dm= 23.6mm, Do= 23.95mm
2/17 jewels
f = 18000 A/hHands
1.30 x 0.80 x 0.20mm
10.5''', Dm= 23.3mm, Do= 23.7mm
17 jewels
f = 18000 A/hHands
1.30 x 0.85 x 0.22mm
両方ともranfft(2022/10月現在)より拝借。太字は私が設定。
径は0.3mm違うものの近い値を持っています。
針径も1/100単位での調整で済むため大きな作業が必要なさそうです。
2つ方法がありますね。
- ハカマを拡げる
- 受けを削る
削るのは秒カナとツツカナのふたつ。
秒針は秒カナをラッピングフィルム#4000で磨いて調整。
ツツカナを削るのは諦めて分針のハカマを拡げました。
どちらの作業もマイクロメーターを使ったり現物合わせを何度も行い入念に確認しました。
ケースシング径を合わせる方法はケースをすぼめるのが一番でした。
直径を0.3mmだけ拡張するためには0.15mmのフィルム的なスペーサーが必要です。金箔みたいに伸ばせたら作れそうですが、それはちょっと...。
最後に秒カナが落っこちる問題を直しましょう。
本来は厚みのある機械が入っていたケースに薄型のものが載りますから、とうぜん空間ができます。そのためおさえのない秒カナがケース内で落ちます。
これを解決するために廃材を利用しました。
切れてしまったゼンマイを再利用して空間を埋めています。
というわけで載って完成しました。
視覚情報が圧倒的に足りていないのはお許しいただきたく、ええ。
他人からの依頼でかつ中身は気にしません的な内容でなければ、ここまでの作業はしたくありませんねぇ。
でもこういう作業はメーカーとは違うセクターだからこそなせるワザって感じがします。
重たかったけど楽しい仕事でした。
では、またお会いしましょう。