私情でオーバーホールをできない環境にありますが、一応パソコン一つでできるデータいじりで遊んでいます。
今回はオンラインでほぼすべてが完結するサービスを使ってアルミケースの切削をしてもらいました。
種類 | A 6061 |
表面粗さ | Ra3.2 |
最小公差 | ±0.05mm |
表面処理 | 銀色アルマイト 光沢あり |
以上の条件で注文。一部にネジを切ってもらいました。
全部品と送料込みで$24.17。2023年10月現在のレートは1USD = 150円ですから、3600円程度。
まずはケーシングを終えた状態。風防は乗せているだけです。文字盤が汚いのは無視してください。
ケース本体を少しくらい強く押したり、コツコツと当ててみても割れる様子はなく、薄いながらも結構な強度があるのがわかります。アノダイジングするとここまで強くなるのか。
表面粗さが少し気になりますか? こうしてドアップの写真を見れば確かに気になるザラザラ具合かもしれません。
実物はまじまじと見ない限り大丈夫です。つや消しの金属かな?くらい。光沢かと問われれば「光沢ではない」というのが本音。
インデックス代わりのミゾがもう少し輝くと思ったけど、期待通りにならなかった。
各部の角は立っておらずアクセサリーとして身につけても痛くなさそう。
ガスケットを装着すると胴と裏蓋に隙間が...。公差のためか、ガスケットを入れるミゾが小さい。用意していたものでは大きすぎます。
私がデータを更新して対応するしかありませんね。
心配していたリューズはこのざまです。1mmくらい隙間が空いてしまいました。
というのもこのリューズは複数の段差がある形をしていて、これはクリアしなければならない大きな課題です。
純正部品だと思われるものは可能な限り使いたい精神です。
おそらく私の計測が間違っていたんでしょうね。
ここはチューブ的な形状をしたものを追加あるいは成形して対策します。
胴に切ってもらったネジ山はいい具合です。
M0.8の雌ネジ。裏蓋を固定する雄ネジはピッタリハマります。これは満足のいく質。ガタツキなんかはありません。
どちらかというと裏蓋側にあるネジを切っていない、通すだけの穴がギリギリすぎてネジがなめらかに通らないほうが問題だ。
これはどういうことか、文字盤とケースの間がかなり空いてしまいました。高さの採寸は全然難しくないはずなのに。
しかし、すっぽり収まっていない事実を受け止めねばなりません。3Dデータと実物の差異を照らし合わせて煮詰める必要があるでしょう。
まあ最悪スペーサーを噛ませばいいのかもしれません。やりたくありませんが。
裏蓋のネジはいい感じ。
裏蓋フチ部分の面取りはダレてしまっていますね。もはや局面のような雰囲気さえ出ています。表面粗さと処理の関係でしょうか。
次はアノダイジング無しでサンドブラストで表面を仕上げてもいいかも。
裏蓋には疑似刻印を入れました。
データ上では微小なミゾを彫ってもらうつもりでしたが、アノダイジング後は刻印なのかデボスなのかわからない状態になりました。
とまあいろいろと詰めの甘いところがあるものの、今回もたくさんの学びがありました。
なによりも現物に合わせて作る難しさを再度痛感します。
私は超絶アナログにノギスとマイクロメーターを使って寸法をとっています。そのうえ今回対象としたムーブメントや部品は段差も多く、円形だけではない部分もありました。
用意した機械も文字盤も決して悪くないものですから、ケースを完成させて現場復帰させてあげたいものです。
では、またお会いしましょう。