こんにちは。
不動となった懐中時計を入手したので中を見てみます。
今回の犠牲者はこちら。お値段なんと500円!
見づらいですが裏蓋にはQ&Qの文字が見えます。つまりCITIZENの廉価ブランドであると分かります。すでに結末が見えつつありますが、せっかく買ったので遊ばにゃ損そん♪
お顔は結構格好いいんですよ。
文字盤だけ外して他につけてもやっていけそうな雰囲気を出しています。インデックスもプリントではなくしっかりと貼り付けてあります。
シンプルな見た目がグ~。
自分でFinestって言っちゃうの、海外感あって好き。
本来の日本人的な感覚でいくと「芸術的」とか「他の追随を許さぬ」とかの文言は自ら語ったりしないんですがね。しかしこれはCITIZENの時計です。市民の考えとは少し離れているのかな...。
開くには裏蓋をこじれば大丈夫なようですね。
は?
なにこれ小さすぎん??
すでにぼろぼろだった裏蓋を叩きまくって空けたらこのスカスカ具合。竜頭側の傷は私だけが付けたわけではありませんよ。
女性用みたいな小ささですがねじは大きいのでさわりやすい。キャリバーが書かれていません。
では輪列のほう、拝見させていただきまーす。
ちょっとー!どうなってんのよ!(CV.増山江威子
いや、これなるべくしてなってるんですわ。
まず、外した押さえは、香箱・輪列・アンクル・テンプ・ガンギの全ての押さえを兼ねます。
先ほどの写真を見てもらうと理解してもらえましょう。ぜんまいのトルクを解放するための機構が無いのです。ですから、持ち上げた瞬間にぜんまいが解けて強く回転してしまい、他の部品を吹き飛ばしてしまったわけです。
丸穴車に当たる部品が明後日の方向へ消えてしまったので、数分探したのはナイショのお話。
全ての配置です。正しい配置の写真を取る前に散らかってしまったので時間がかかりました。
灰色と緑が樹脂だというのに驚き。あとガッツリ12が見えてるのも。
丸く穴の開いてる歯車ってかわいいよね。うん。
ヒゲゼンマイはしっかりしてるけど、たぶん磁器帯びしやすいんだろうな。
単体の写真を取り忘れましたが、アンクルが横向きなのも面白いですよね。
で、動かない原因を考えて見ますと、巻き上げと輪列は問題が無く、テンプはさわっても反応しないので、ガンギやアンクル辺りが怪しいようです。
樹脂製というのもありガンギの軸が曲がっていたので手で戻したり、アンクルの位置をちょいちょいずらしたりしましたが結局動いてはくれませんでした。
非合理的な押さえや樹脂をふんだんに使うというのは、OHに出して使い続けるのを想定しない作りだと言えます。加えて、アンクルとガンギの激しく動く2つを樹脂にしているあたりに企業の「いやらしさ」を覚えます。これが商売ってやつか。恐ろしいよ。
あるべきでない使い方をしてしまったQ&Q Finest Mecでした。
これを使い続けるために部品を探し回るのはさすがにしません。けども、一生モノにならない機械式時計とは少し悲しい気持ちになります。
Q&Qの精神である
Quality(品質の良いものを)&Quantity(より多くの人へ)
を体現するならば、近年のSeiko5のように機械式時計への足がかりとして展開してほしいものです。CITIZENはクオーツを中心に製造するので、1万円を下回る機械式を売り出さないでしょう。なんせ薄さ2.98mmの時計を作る会社ですもの。
文字盤を使いまわせる機会があれば、登場していただくとしましょう。
では、またお会いしましょう。