分解ですでに大変なことになってしまった激安ムーブメント。オーバーホールを全く想定していない機械を組み立てるってのは無謀だとあれほど。
まず地板を確認。テンプはヒゲ持ちが地板に刺さっている関係上外すか外すまいかは悩ましい。
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ちなみにこれがヒゲ持ちのピン。
穴にヒゲゼンマイを通して、そこへピンを圧入してヒゲゼンマイを固定する形式。
案の定これは外すと戻らなくなってしまった。
右下の金色はホゾ穴兼テンプ受。これが総受け側についており、ゆるめるとテンプ一式がヒゲ持ちを除いて自由になる感じ。ここには注油してあったんだろうか。
さて、バラバラになってしまって輪列の順番が不明。これは今までさわってきた勘と現物合わせで検証していくしかあるめえ。
並べたけどこの順番で正解だった。冴えてる。
上から見た図はこう。
アンクルのと振りピン?のかみ合いがよくわからんけどこれで組んでみよう。
はいっ。
載せてネジ締めるだけだと思うだろう?実はこの作業だけで3時間くらい使ったんだぜ...。
それもそのはず、穴が浅いせいで下ホゾをさしてもぐらぐらするし、受けが一枚なせいであっちをはめようとするとこっちが外れ合わせているとどこかが浮くし。クロックの組み立て同様にして、斜めにしてひとつずつ落とし込んでいく手法でどうにか全部入れた。
正しい手順を誰か教えてくれ。
一応全部部品を戻したけど、別に動くようになったとかそういうのはない。
分解組み立てにこれほど苦労するのは安いクオーツでもそうそうお目にかかれない。機械でしか組み立てられないようになってるんだろうか。
このムーブメントを別の人に見せると「ああこれか、一回うちにも来たな。そん時は秘技”丸洗い”で押し通したっけ」
ふむ。手元にもうひとつ同型の機械があるのでベンジンに放り込んでみたら...
弱弱しくもテンプが振りだしたやないかい。
あくまで単純に力が最後まで伝わり始めただけで実用には至らないものの、なるほどこれは丸洗いして注油だけのほうが安全で確実な修理かもしれない。
ともかく、TIMEXのピンレバー式ムーブメントは人力での分解組立は想定外の機械で、使い捨ての名は伊達ではないのがわかった。TIMEXのヴィンテージを買うときはDuRoWeの入った、しっかり17石のムーブを当てないと再生ができないみたい。
では、またお会いしましょう。