フリマサービスでSEIKO SPIRIT AGSを手に入れました。今だとキネティックと言われている種類の前身ですね。
ああ、キャパシターだけ交換したらOHに出さなくてもいいと思っているそこの君、悪いことは言わないから素直にお金払っておきなさい。部品が黒焦げになってもいいのかい?
さ、始めましょう。
振っても動いてくれない状態。リュウズ操作は可。キャリバーは5M22A。
ベゼルがボロボロなのは仕方ないのでちょっとおいといて、中身まで飛ばしましょう。
カレンダー周りは7Nと一緒だな。SEIKOのクオーツはこれが主流っぽい。
まあ外すだけですよね。表も裏も見ればすぐわかるような部品しかないし。写ってないけど、日付ジャンパーを折ったり曲げたりしないように。
表側のバッテリーを外すと、
べったりと謎の液体。電池にこんなもんつけちゃダメでしょうが!というか、どうやったらこんなところに液体がつくんだよ。
回路ユニットが受けと一緒に持ち上がってしまった。
恐る恐る剥がすと、
回路の一部(右のほう)が溶けている。CMOS裏面のゴムがぶよぶよに...。
頼れる方々に相談してみると「前さわった人が薬品の付いたピンセットで触った、もしくは垂れて溶けたんだろう」と暫定結論。通常の使用でこんなになるのは見たことが無く仮にあるとすれば天然ゴムが水分や熱によって溶けたのかもしれないと。
回路がダメになるってどんな作業場だったんだ。ちなみに回路ブロックの消費電流は定格よりも大きくて既にダメそう。
輪列受けにも何か液体ついてるし。
汚い作業痕だなあ。素人目に見てもこれは確かにジャンクだ。ウィスキーにでも浸したのかと疑ってしまう。
発電用ローターは折れてないし焦げてもない。
早ければ10万回転/分と超高速回転する部品。レーサーだってそんなに回すのかってくらい早い。
そう、OH代をケチって自分で電池交換してドヤっていると油切れを起こしてこの部品が焼き付いて折れます。
運良くか運悪くか、今回は折れていませんでした。
輪列と切り替えまわりも観察して覚えておけば大丈夫。
そこここに謎の液体をばらまいたり発電用歯車の石がシャバシャバ。
そのくせ巻芯周辺はグリスも塗られていないし、一体全体だれが触ったんだ。ぷんぷん。素人から見てもひどい状態だぞ。
あとは注油しながら組み上げて、一応消費電力測定。ここのネジを締めてから。
残念ながら6μA弱と、絶不調。輪列は問題なく動いているし発電のほうも大丈夫。コイルも抵抗値が返ってくる。
となると回路ブロックがお釈迦になってますね。
南無三!
諦めてひと晩寝かせたらなんとしっかり一秒運針で2Pも打たずに駆動していました。が、充電しておこうと振ったらまた止まる。そして二秒運針になったり止まったりを繰り返して不審な動きを見せています。
ソナーで聴取。
AGS「ボボッ、ボボッ、ピヨピヨピヨwピーピヨww」
ダメだ。頭おかしい音出してる。
しかしまた一昼夜経つと1秒運針で2Pも出てない。んー。装着して様子見ようかしら。
おおかた前の人が好奇心で触って壊したんだろう。本物のジャンク拾っちまった。まあガワが手に入っただけでもヨシとしましょうか。5M65か何かと載せ替えられるかもしれん。
では、またお会いしましょう。