カレンダー側がすっきりした7S26Aの分解をすすめます。
動作の本丸、表輪列です。
回転するテンプを外します。目で見ても油が残っている様子。ピンぼけごめんなさいね。
ネジを外して少しずつ受けをこじて浮かせます。ゆっくりゆっくり持ち上げて、ヒゲゼンマイが伸びないように取り出しましょう。
状態を確認。中心がズレたり水平が保たれていなかったりします。キズミを使います。
ヒゲ持ち側に寄っているのがわかります。わかってください。これは一旦安全なところへ隔離します。誤って手が当たると大変です。
水平は大丈夫です。人が間違わない限りほぼ水平は失われません。
中心はどうしても寄ってくるもののようです。
何年か使用した時計・古い時計さまざま見てきたなかでオーバーホール歴のない風に見える機械でも中心がズレているものがあります。使っているだけで疲れてくるんですね。
まだゼンマイはほどけていません。歯車に力はかかったままです。
アンクルの剣先を軽くさわりながら、力が伝わってきているか、ガンギ車と爪石の関係は良好かを確認。ここでは割愛。
とりあえずアンクルが歯車に押されてパチパチと弾かれるように左右に動けばいいでしょう。
ここでやっとゼンマイをほどきます。7Sについては私はこの方法しか知りません。
角穴のネジにドライバーを当て、板バネ状のコハゼを引く。するとドライバーが反時計回りにグルッと強く動こうとする。これをゆっくりと回るように力を加減しながら少しずつ解放。
私の場合は、右手でドライバーを持ち左手のピンセットでコハゼを引いて外す。右手を無理のない範囲で回転させ少しだけ解放。コハゼを戻しドライバーを持ち直す。再び外して少しだけ回転。ドライバーが勝手に回らなくなるまで繰り返す。
人によっては指サックをつけた手で角穴をおさえて摩擦を加えながら解放することも。
何を正解と呼ぶかは不明なものの、ひとつ言えるのは「一気に解放しない」ようにしなければなりません。
ゼンマイがほどけてアンクルを外したらちょっとだけゼンマイを巻いてみます。
ガンギ車がシューンと回るはず。回らなかったら輪列のどこかに異常があります。カクカクと止まる場合は汚れや摩耗かもしれません。
輪列受けをとります。
ここ数日はもっぱらクオーツをさわっていたせいでネジが長く長く感じました。実際長いんですけども。
輪列受けが外れました。一旦わきによけてください。後で作業します。
見慣れた輪列が顔を出してきました。はじめましての方は部品の形と位置を観察のうえちゃんと憶えておきましょう。
違和感の正体がわかりました。「SEIKO」の文字が多いんだ。7S26C(現行)では地板のSEIKOが無い。
Cは輪列受けとアンクル受けのふたつに刻印があるだけで、いま目の前にあるAはここにもあるせいでうるさく感じるんですね。
いつかさわった6R15に関してはどこにもなかった気がするわ。
残るは切り替えまわり。バネに気をつけましょう。
グリスの跡を見ておけば、どこに塗ればいいかがわかります。ここも観察ですね。
もう一度カレンダー側に戻って耐震装置のバネ・石を取り外します。回すだけです。
提灯型のバネの両端に均等に力を弱くかけながらゆっくり回します。片側だけに力がかかってもよくありません。簡単に折れますしパチっと飛んでいきますので何かで覆ってください。
切り込みまで両端が動いたら放しても大丈夫。ロディコでバネと石を拾い上げて洗浄用の瓶やカゴによけましょう。
マジックレバーの”レバー”を外します。輪列受けが再び出現。赤の線のようにピンセットを当てて止め輪をはじきます。
細いピンセットだと負けてしまいます。厚みのあるものを使いましょう。
また、止め輪も飛翔能力が高くイキのいい奴が多い。
輪列受けはこれだけです。ピンセットに黒いグリスがついてしまったら洗っておきましょう。
受けの耐震石は相当な汚れが無い限りは外してはいけません。戻すのがめちゃくちゃ難しい。めちゃくちゃ跡をつけて戻した苦い記憶があります。
地板にテンプをもどし、同じ要領で石を外しておしまいです。
この状態にするのはヒゲゼンマイが安定するからですね。フリーの状態で洗浄液などにつけると他の部品がひっかかり伸びてしまうかもしれません。
今回は瓶を3つ用意してベンジンにて洗浄します。
分ける基準はそれぞれ考えればいいかと思います。どれも100円ショップで手に入るもの。
分解がやっとこさ終わりましたね。
改めて一服したら組立に進みましょう。
その1 不動...?
その2 裏側分解
その4 アンクルまで組立
その5 表側完成!
その6 文字盤側も完成!
では、またお会いしましょう。