ところで、マイクロローターを搭載した機械を作るメーカーはどこだ?
わりとニッチな機構の気がするんだけど。
LOBINNIに載っているのは「Hangzhou 5000A」。
そう、Hangzhouが作っていて、現地のお名前では杭州手表有限公司。
http://www.hzwatch.com/product.php
公式ですら型番、機能、厚さ、直径、石数、振動くらいしか載せておらず、データシートの配布はおろか持続時間の公称値すらない始末。
今日も外国語とにらめっこしながら情報を集めます。基本は杭州公式かここのwiki。
Hangzhouは他社同様に桁数に意味を持たせている風で、現在1~9系までページが存在します。まあ、1系はページだけで中は空っぽ、4,8系は存在もしないんだが。
順番に見ます。
2系列
SEIKO 7009 をベースとした機械。透かし彫りが主流で、機能の派生も非常に多岐に及ぶ。21600振動/h。
小秒針やデイは言うまでもなく、デイ針、ビッグデイト、24時間針などなど。クロノグラフ機能以外の多軸機能はほぼ実現しています。
直径が27.4mmのものもあれば31.5mmなんてものもあるので簡単に入れ替えられるとは限らない様子。
3系列
手巻きトゥールビヨンの機械。たくさんのムーブメントのコンパチ+新規設計?
部品の形を見るにETAの要素をふんだんに取り入れている。28800振動/h。
多彩な地盤の仕上げや彫り、たくさんの複雑機構を備えたシリーズ。2系列と同じくクロノ機能以外は網羅。
手巻きだけかと思いきや自動巻きキャリバーも同時に作っており、ツインバレルモデルも存在しているけれど、パワーリザーブに関しては不明。精度に関しても記述無し。
「3xyyy」のように最大5桁のキャリバーナンバーが用意されている。xの部分がアルファベットなら自動巻きとなっているようだ。
2022年2月現在、3系列だけで120種以上がある...。
5系列
マイクロローター自動巻き。5000Aのみ。たぶんオリジナル。28800振動/h。
厚さ3.95mmの機械は腕時計全体の薄型化に貢献する。部品の互換は不明。
自動巻き付近に見たことある形のクラッチ歯車がちらほら見えますが、ETA系の流用かどうか検証の必要あり。
6系列
ETA28系のクローン。28800振動/h。
カレンダーのバリエーションとスケルトン仕様のものがある。刻印が無いので本物との区別がつくが、他のクローンとは区別できない。
他の中華メーカーと同じく、厚さにバラつきがあり互換品としての入手時には注意。
7系列
おそらく新規設計。地板径30mmが基本。厚さが5.23mm以上で大型の雰囲気。28800振動/h。
私の見立てが間違えていなければ巻上はマジックレバー方式。パワーリザーブやGMTなどはあるものの、4軸までが主流。
テンプが両持ちで6時位置に配置。手巻きのみモデルも存在。搭載した時計は探せば出てくる?
9系列
UNITAS 6497, 6498をベースとした手巻き懐中。18000振動/h。
GMTとムーンフェイズが追加されるのみの機能。
小秒針の位置に注意しないと文字盤がもったいないことになる。
おしまい
クローンとMIYOTAやSEIKOのパチモンムーブばかりが取り沙汰される中華ムーブメント。
Hangzhouに主眼を置いてみると、意外とオリジナルがたくさんあって「やればできるじゃん」と感じます。もっとブランド側が採用していけば地位が上がり、楽しくなってくるはず。
ただしこいつらに識別用の刻印は無いもよう。
個人的には7系列の手巻きをひとつコンプリートにしてみたい。7A10Aかな。
Seagullの機械はかつてまとめた記事があります。
興味があればぜひ。
では、またお会いしましょう。