損するあほう

時計とかタバコとかPCとか、残しておく。※個人の感想です

Hangzhou 5000A, 2824-2のアレンジ機っぽいぞ

前から少し気になっていたHangzhou 5000Aムーブメント。

 

他の機械の情報を見ていると、偶然それに関する画像を発見したのでもう少し深堀りしてみます。

 

何か月か前に5000Aを含む紹介記事を用意して、表面的な情報を集めました。
その際すでにETAとの共通項を感じ取っていた自分がいます。

 

そして今回新たに見つけたページを見るとさらにETAっぽさが強まる結果に。

 

page1: https://watch-movements.eu/blog/2021/08/01/mikrorotor-auf-chinesische-art-hangzhou-5000a/

page2: http://horology-student.org/movements/other-modern-movements/hangzhou-5000a/

以上ふたつのページから拝借する写真とともに考えます。

 

 

自動巻き機構

まずローター周辺。

見覚えありありの切替車。実際のところ共通部品なのか?

page1 から拝借

上が5000Aの切替車の裏面。 下が2824-2のそれ。

似ている。私の中ではかなり近いものに感じる。
表面はどうでしょうか。

page1 と 2824-2資料から

拝借先の縮尺によって画質の限界を感じるものの、クリソツではなかろうか。
また、page2の一部には以下の記述が(太字は私が追加)。

The rotor is not held by its central screw, but by 3 screws attaching its base to the rest of the movement. Once the micro-rotor is removed, we can see a bridge holding two reverser wheels as are common in ETA movements.

ETAムーブメントに共通してみられる切替車がふたつ、とあります。5000AとETAのそれらが交換可能かについて言及されていないものの、他にも可能性を考える人がいるようです。手に入れたら検証の余地あり。

page1はETAみへの言及無し。

 

小さな歯が2か所に切られた小さなシャフトが受けの裏についた歯車を回してゼンマイをチャージ。

page2 から拝借

 

伝達機構

ふたつ目は輪列です。

以前は気づいていませんでしたが、それぞれの引用元や公式の画像を見ていると四番車あたりに親しみを覚えます。

page2 から拝借

ここだけだと何とも言い難い部分があるでしょう。では次の2824-2の資料

2824-2の資料

カナの位置こそ違えど、ガンギ車の切り方や各歯車のウデ等類似点が相当数あります。

(私の推測の域を出ませんけど)ガンギ車と二番車に関しては本当にスワップ可能なのではと思えます。これも検証の余地あり。

 

三番車を伝って間接的に時分針を回します。

page1 から切り抜き

 

切替機構

最後は文字盤側の構造。

ここに関しては間違いなく同じ形のものを同じ組合せ・同じ配置で使用しています。
カレンダー早送りや子鉄車そして子鉄レバーまでもがカニ

page1 から拝借

2824-2

一方、子鉄車までは同じなものの、5000Aでは第二子鉄車が追加されており押さえの形やネジの位置が違っています。

加えてカレンダー側も少し配置換えに遭っています。

page1 から拝借

2824-2

カレンダー中間車の位置が曲がるL字っぽいものからくの字に、カレンダージャンパー(バネ)がカレンダー板の裏側に移動してます。

切替まわり・カレンダーまわりは結構互換性がありそうに感じた比較。実はまさつ車や日の裏車あたりもいけそう。

 

 

精度

page1 の最後のほうにタイムグラファーにかけた写真があり、その下にこう説明がありました。

Der Gang lag bei den sechs gemessenen Lagen (Zifferblatt oben/unten, Krone rechts/links/unten/oben) zwischen 0 und +9 Sekunden pro Tag, der Abfallfehler zwischen 0,0 und 0,2 ms und die Amplitude zwischen 256 und 284°

さすがにドイツ語は理解不能。でも精度の話なら読めなくても十分。

  • 6姿勢歩度 0~+9秒
  • 片振り 0.0~0.2ms
  • 振り角 256~284°

着用日差は不明であるものの期待が寄せられそうな測定ですな。

 

おしまい

目新しく思えた5000Aはコピー品の枠を出そうで出られない所をマイクロローターに変更して選択肢を増やした、挑戦的な商品とも評してよいでしょう。
いっそう手にしてみたい欲が高まりました。

 

しかしここまでETA2824-2が強いとは。
フレデリックコンスタント発のキャリバー FC-910もETA2801改であることを考えると、それだけ優れた設計だったとうかがえます。(2801は2824-2の手巻き部分のみバージョン)

 

一周回って純正ETAの機械を搭載した時計も欲しくなったな。

 

では、またお会いしましょう。